大家・仲介会社・管理会社の違いとは？それぞれの役割と関係性

賃貸住居を借りる際には、大家、仲介会社、そして管理会社と関わりを持つことになります。この3者ですが、それぞれの違いについてご存じでしょうか？この３者の違いを知れば、部屋や住人同士のトラブルにも対処しやすくなります。そこで今回は、大家、仲介会社、管理会社のそれぞれの役割や関係性についてご紹介します。

大家とは

大家とは物件の所有者で個人、法人どちらのケースもあります。

そして大家の役割ですが、主な役割は建物と入居者の管理です。建物の管理とは入り口や階段の清掃活動から、各部の補修点検といったメンテナンスまであります。一方入居者の管理は家賃や駐車料金の回収業務です。それに入居時や退去時の事務手続き、退去時の敷金精算も大家の役割になります。このように大家は建物や設備を快適に使える環境を維持しつつ、入居者からの家賃で収入を得ています。

もう一つ大家には、トラブルを早急に解決するという大事な役割があります。たとえば部屋の水道が出ないといった設備の故障や、入居者同士のトラブルも早急に解決する必要があります。なぜ早急に解決しなければならないかといえば、物件の評判につながるからです。もし評判が落ちてしまえば、入居者の引っ越しや新たな入居者が減少して家賃収入を得ることが難しくなりかねません。

昔は大家個人で賃貸運営をしていたことも多かったようですが、最近では普段は会社員として働いている方が、副業や不動産投資として大家をしている場合が多く見受けられます。この場合、1人で入居者や建物の管理をすることはかなり大変です。最近はマンションといった建物も増え、入居者の規模も大きくなっています。そこで多くの大家は建物の管理代行を管理会社へ依頼しています。管理会社の役割については、管理会社の説明にて後述いたします。

仲介会社とは

仲介会社とは物件を探したい人と、物件を売りたい人を結び付ける会社を指しています。また多くの場合、不動産会社を指す言葉でもあります。つまり仲介会社とは入居者と大家の橋渡し的な存在です。そして入居が確定されれば仲介手数料が仲介会社の手元に入り、これが収入源になります。仲介会社の役割はインターネットでの物件の広告作成や「内見」と呼ばれる顧客と実際に現地へ行って間取りや設備の紹介、そして契約手続きです。

また仲介会社と一言でいっても、仲介専門の会社や、自社で物件を抱えている会社もあります。ここまでが仲介会社の紹介ですが重要なのは「仲介会社の業務は入居から契約までの手続き」である点です。つまり入居が完了すれば、その後は仲介会社と直接関わるは原則としてありません。入居が完了してからは、建物を管理する大家か管理会社と関わることになります。

管理会社とは

大家の項目でも少し触れましたが、管理会社とは大家から建物の管理代行を請け負う会社です。管理会社にはさまざまな事業形態があり、分譲マンション専門の業者や、テナントやショッピングセンターなど商業施設を扱う業者、アパート、マンションなど賃貸住宅を専門にする業者と得意分野がわかれています。

余談ですが不動産会社の中にも、建物の管理に特化した不動産会社があります。つまり不動産会社という枠に仲介会社、管理会社が内包されているといったイメージです。管理会社の主な枠割は建物、入居者の管理を大家に変わって行うことです。契約内容によって役割の範囲は変わりますが、代表的なのは施設の維持と家賃の集金代行です。たとえばトイレの水漏れやお湯が出ないといった施設のトラブルや、お隣の部屋がうるさいといったクレーム問題の対処も管理会社の業務になります。

とくに管理会社はクレーム問題といったデリケートなトラブルに慣れているので、対処に優れた管理会社に任せておけば、大家、入居者双方にとって安心できるというわけです。他にも集金になかなか応じない入居者、経済的な理由で支払いが困難な入居者への集金業務も管理会社が担ってくれます。こうして管理代行を行うことを対価に、管理会社は大家から管理委託料を収入として受け取っています。

大家・仲介会社・管理会社の関係

大家、仲介会社、管理会社の関係は、役割で見るとまず大家が管理会社へ物件管理業務を依頼しています。そして管理会社は仲介会社へ入居者の募集を依頼し、仲介会社は2者と連携しながら新たな入居者へ物件案内と契約手続きを進めているのです。

お金の流れで見ると、大家は管理会社へ管理代行業務の対価に委託料を支払い、管理会社は仲介会社に物件の広告料を支払っています。この広告料金で仲介会社は物件の広告作成をしているのです。そして入居者から契約手続きと引き換えに仲介会社は仲介手数料を受け取っています。

また入居者が支払う敷金、礼金、家賃は管理会社もしくは大家が受け取る流れです。なお初回の家賃については振込が二度手間になるのを防ぐために、仲介会社が仲介手数料をともに受け取り、その後は管理会社か大家へ支払うといった場合もあります。

大家は「物件の所有者」、仲介会社は「入居者と大家との橋渡し役」、管理会社は「大家の代わりに物件を管理する会社」です。入居者側から見ると、部屋の引き渡しが完了するまでは仲介会社が連絡相手ですが、入居完了後は大家か管理会社が連絡相手です。トラブルにあった際に備えて、契約時の書類に記載されている管理会社か大家の連絡先を控えておくことをおすすめします。