不動産相続の手続きや流れ。相続人が複数いる場合はどうする?
不動産相続は自分には関係ないことだと思っている方も多いです。しかし、いざ不動産相続が必要になったとき突然で戸惑う方も多いです。また、相続人が複数いる場合はどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。この記事では、不動産相続の手続きや流れについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産を相続する手続きと流れ
不動産を相続する際の流れは以下のようになります。相続人が複数いる場合は、遺産分割会議で遺産の分け方を決めることが必須です。
・相続人や相続財産を確認する
・遺産の分け方を決める
・相続財産の名義変更
・10か月以内に相続税の申告、納付を行う
親が亡くなった場合葬儀や生命保険の手続き、公共料金の名義変更などさまざまなことを行う必要があります。相続税は10か月以内に納付しなければいけないため、のんびりしてはいられません。
■相続人の確定
遺された財産を相続するのは誰かを決めます。相続人の確定は亡くなった方の戸籍や相続人の住民票を提出することで、相続情報一覧図で証明してもらえる制度があります。遺言書がある場合は公証人役場で調べてもらえます。確認と共に財産の確認も行います。遺産にはプラスの財産、マイナスの財産もあります。すべて調べましょう。
■遺産の分け方を決める
遺産は遺言書があればそれに従って分けます。遺言書がない場合や相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割では揉める事もあります。話し合っても解決できそうにない時には、専門家に相談してしまった方がスムーズに話がまとまるかもしれません。
■相続財産の名義変更
相続財産の名義変更は遺産分割協議の後に行います。土地や家を相続する時は所有権移転登記が必要です。必要な書類は状況により異なります。
■法務局で相続登記を行う
相続登記は期限がありません。しかし不動産を売却する場合や担保に入れる場合は、所有権の持ち人を明らかにする必要があります。長期間登記を行わないとさまざまな問題が起きてしまうので、相続したらすぐに申請を行いましょう。
不動産相続のトラブルを防ぐために
仲のよい親族だったとしても、相続人が複数の場合、相続問題で揉めてしまうケースもあります。トラブルを防ぐために、事前にどんなことが起こり得るか把握しておきましょう。
■遺言があっても内容通りにならない事もある
遺言書があれば内容通りになると思っている方も多いですが、他の相続人の遺留分を侵害するような内容の遺言書だと内容通りにならない事もあります。一人の相続人に遺産が多く集中しているなど不平等な遺言書の場合、他の相続人に遺留分を請求されるかもしれません。不平等にならない遺言書の作成が必要なため、税理士や行政書士に相談しましょう。
■不動産が登記されていない
相続した不動産が登記されていない場合もあります。この場合は相続全員で遺産分割協議を行い、所有権を登記しましょう。現在の所有権が誰なのかを明確にしないと、売却する時などにスムーズに進みません。
■不動産が担保に入っていた
相続した不動産が担保に入っている場合はマイナスの財産を背負うことになります。抵当権がついている物件を相続した場合は抵当権もそのまま引き継がれます。借金を完済することで抵当権抹消の手続きを行うことができます。
不動産相続にかかる税金とは?
不動産相続にはコストがかかります。相続にかかる税金や費用にはどのようなものがあるでしょうか。
■不動産を相続すると税金がかかる
現金や預貯金を相続する時にはお金はかかりませんが、不動産を自分の名義にする際の手続きをすることで登録免許税がかかります。不動産は維持管理のコストもかかり、相続後も税金がかかります。
・登録免許税
・固定資産税
・都市計画税(都市計画施行区域対象のみ)
・譲渡所得税
手に入れてから手放すまで税金がかかり続けます。
■不動産登記に必要な費用
不動産登記をする際にも費用がかかります。
・登録免許税
・固定資産評価証明書
・登記事項証明書
・戸籍謄本
・必要な書類の取得費
自分で不動産登記を行う場合は上記の費用がかかります。司法書士に依頼する場合には上記の費用と司法書士の報酬がプラスされます。個人住宅の相続登記の相場は6万円から10万円前後です。依頼する司法書士によって金額が異なるので依頼前に確認をしましょう。
不動産相続での節税方法
土地や建物など不動産を相続する時に節税方法があれば活用したいです。相続するにあたり税や費用がかかってきます。相続税に関しては10か月の期限があり焦ってしまいますね。状況により節税方法も違うので当てはまるものがあれば活用しましょう。
■小規模宅地等の特例
・被相続人と住んでいた住宅
被相続人が住んでいる実家に同居している配偶者や二世帯住宅や同居している子どもなど親族が相続をして住み続ける場合には鳥の評価額は330m²まで80%減額されます。
・被相続人の事業用の宅地
議場用の土地の場合は相続人が事業を受け継ぐことで400m²までの部分の評価額が80%減額されます。
・被相続人が所有するアパートなどの貸付宅地
被相続人がアパート賃貸業を行っていた時は相続人が貸付事業を引き継ぐことで200m²の部分まで評価額が50%減額されます。
■配偶者控除
被相続人の配偶者は基礎控除以外にも配偶者控除で相続税が軽減されます。遺産額が1億6,000万までである、もしくは配偶者の法定相続分のどちらか大きい金額までなら相続税が課税されません。
・戸籍上の配偶者
・相続財産を意図的に隠していない
・遺産分割の確定している
・相続税の確定書を提出する
配偶者控除を受けられる場合のポイントは4つあります。戸籍上の配偶者かどうか、申告の際に相続財産を隠していないか、配偶者控除を受けるためには遺産分割協議を行い分け方が確定しているかも重要で、配偶者控除の場合は相続税が0でも申告が必要になります。
不動産相続の手続きの流れや相続人が複数いる場合どうしたらよいか、起こりうるトラブルなどもご紹介しました。遺産相続は突然訪れます。しなくてはいけないことがたくさんあり戸惑ってしまう事も多く、中には期限があるものもあります。相続税が発生するものに対しては節税対策も考えなければいけません。困った時などに頼れる税理士を探しておくと安心です。