不動産売買における「契約不適合責任」についてわかりやすく解説!
不動産売買は売主にとっても買主にとっても大きな取引です。できればトラブルなくおわりたいですよね。しかし、住みはじめてから不具合を発見したなどどうしてもトラブルになってしまうこともあるでしょう。売買に関する決まりとして2020年に登場した契約不適合責任がどのようなものか解説します。
「契約不適合責任」とは?
民法が変更され新しく登場した決まりですがどのようなものなのでしょうか。不動産の売買を検討している方は内容を把握しておきましょう。
「契約不適合責任」ってどんなもの?
2020年に民法が変更され登場した新しい単語です。契約した際に買主に引き渡されたものの種類、品質、数量などが契約内容と違っている場合、引き渡した側の売主に生じる責任のことを指します。
たとえば、家を購入するときに雨漏りしない中古住宅という契約で購入したのに雨漏りがする場合は、品質が欠けているとみなされ、売主は責任を追及されることになります。果物でたとえると、10個の契約で購入したのに8個しか商品が入っていなかった、購入した商品に傷がついていて契約内容と違うといったように考えると分かりやすいでしょう。
不動産については種類や数量といった部分は契約と異なる場合分かりやすいですが、品質は主観的な部分があり、売主、買主でイメージや考え方、意識が違うことがあります。不動産の売買を行う場合にはトラブルにならないよう、契約前に問題になりそうなところがあれば明記する、不動産の状況を説明するなどしておきましょう。
「瑕疵担保責任」とはどう違うの?
不動産の責任といえば瑕疵担保責任がありましたがどう違うのでしょうか。瑕疵担保責任では買主が知りえなかった不具合や欠陥があった場合、売主が責任を問われるものでしたが、買主が欠陥についてあらかじめ知っていたか、知らなかったかといったポイントが争点になっていました。
一方、契約不適合責任は、契約との適合性に重きをおいています。契約と違うものが引き渡された時点で売主に責任を追及できるようになったので、シンプルで分かりやすくなりました。また買主は請求しやすくなり、売主の責任は重くなったといえます。
契約不適合責任により買主が認められる権利とは
買主が申し入れできるものは4種類あります。どのようなものがあるのか解説していきます。
追完請求権
契約内容と引き渡されたものが違う場合、契約にあった状態にするよう申し入れるものです。不動産においては、数量を増やしたり代替品を渡したりといったことは難しいため、不備があるところを修理や補修することで契約内容と同じような状態にしてもらいます。
代金減額請求権
追完請求をしたけれど売主が応じない場合に、異なる程度に応じた代金の減額を申し入れられるものです。たとえば坪数が契約より足りないといった場合、契約にあうように坪数を追加することは実際難しいです。そういった追完ができないようなケースは、代金減額を請求可能です。売主が追完を拒否、追完の見込みがないケースも代金減額請求ができます。
損害賠償請求権
損害賠償請求権は、契約内容があっていなかったことを理由に生じた損害について損害賠償を申し入れるものです。追完や代金減額請求と併用できます。
契約解除権
契約解除権は、売主が定めた間に追完の申し入れに応えない際に、買主が契約を解除するものです。売主が追完できないことがあきらかなケースや、追完を拒絶しているケースは期間をおかなくても契約解除ができる、無催告解除という方法を用いるケースもあります。
不動産売却で気を付けるべきポイントとは?
不動産を引き渡した後、買主との間でトラブルにならないためには、売主側は売買の際どんなことに気をつければよいのでしょうか。いくつかのポイントをあげて解説します。
契約書に不動産の状況を詳しく記載しておく
契約不適合責任は、契約書の中身と実際に引き渡した不動産の状態が異なっているかどうかが争点になります。そのため、築年数がある程度たっている中古住宅を売却する場合は、状態を契約書に明記することが大切です。傷んでいたり老朽化したりしている部分があれば売る前にリフォームする、契約書に明記する、買主に伝えるなどを行ってリスクを減らしましょう。
請求期限を設ける
契約不適合責任を申し入れることができるのは、基本的に買主が適合していないことが分かってから1年以内です。ですが、買主、売主の双方の合意があれば、不動産の引き渡しから2年間までとするといった請求期限を設けることができます。詳しいことは不動産業者や弁護士に相談して決めるのがおすすめです。
まとめ
不動産を売買する際はトラブルなく行いたいものです。契約不適合責任という新しい決まりがうまれたため、不動産の売買において契約書の中身が重要になってきます。
売買契約を結ぶ前に、不動産の状態をしっかりチェックし、老朽化しているところがあれば契約書に明記しておくことでトラブルを防ぎましょう。責任の請求期限を設けるなど特約をつけたい場合は、不動産に強い弁護士などに相談の上、決めるのがおすすめです。