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入居者に債務不履行があったら契約解除してもいい?立ち退き要求についても解説!

公開日:2026/03/15  

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不動産の管理・運営をしていくにあたり、入居者の債務不履行によるトラブルが起こることは珍しくありません。トラブルを繰り返す悪質な入居者を放置していると、ほかの住人に迷惑がかかるだけではなく、経済的損失のリスクが考えられます。本記事では、契約の解除・解約の違いと賃貸人が立ち退き要求が可能な場面について解説します。

建物賃貸借契約の「解除」と「解約」は異なる?

建物賃貸借契約には「解除」と「解約」があります。混同されがちですが、本来これらは法律上異なる意味をもちます。講学上、「解除」とは、契約が有効に成立した後、当事者の一方の意思表示によって契約関係を遡及的に消滅させることを指します。

つまり、解除が認められると、法律上は「最初から契約が存在しなかった」かのような効果が生じます。一方、「解約」とは、継続的な契約関係について、当事者の一方の意思表示により将来に向かって契約関係を終了させることを意味します。

解約の場合、それまでの契約関係自体は有効に存在していたことが前提となります。もっとも、法令上はこの区別が必ずしも厳密に貫かれているわけではありません。

たとえば、賃貸借契約に関する民法の規定を見ても、民法第618条では「解約」という用語が用いられている一方、民法第620条では「解除」という文言が使われています。

このように、条文上の用語法は必ずしも統一されていません。さらに、建物賃貸借契約のように長期間継続する契約関係では、解除の遡及効がそのまま認められると、既に支払われた賃料や、これまでの建物使用による法律関係が錯綜してしまいます。

そのため、判例・通説上、賃貸借契約の解除については、原則として将来効のみが認められ、遡及効は否定されています(民法第620条)。実質的には、解除であっても解約と同様に、契約関係を将来に向かって終了させる効果にとどまる点が特徴です。

賃貸人から契約の解除と立ち退き要求することは可能

では、賃貸人(オーナー)が一方的に建物賃貸借契約を解除し、賃借人に立ち退きを求めることはできるのでしょうか。結論からいえば、一定の条件を満たす場合に限り可能です。

賃貸人から解除を主張するためには、原則として賃借人側に債務不履行が存在することが必要です。債務不履行とは、契約で定められた義務や、法律上課されている義務に違反することをいいます。その代表例が賃料の滞納です。

賃料の支払いは賃借人の最も基本的な義務であり、これを履行しないことは明白な契約違反となります。また、賃料滞納以外にも、用法遵守義務違反、すなわち建物を契約内容や社会通念に従って使用しない場合も債務不履行に該当します。

たとえば、常習的な騒音を発生させる行為、賃貸人への届出や承諾なく第三者を同居させる行為、無断転貸などがこれに含まれます。もっとも、債務不履行があれば直ちに解除できるわけではありません。

賃貸人は、まず賃借人に対して是正を求める催告(賃料滞納であれば支払いの督促)を行い、それでも改善が見られない場合に初めて解除を主張することができます。

さらに重要なのが、「信頼関係破壊の法理」です。建物賃貸借契約は、賃借人が一定期間継続して居住・使用することを前提とした、信頼関係に基づく契約です。

そのため、解除が認められるのは、債務不履行の程度が重大で、賃貸人と賃借人との信頼関係が破壊されたと評価できる場合に限られるとされています。

たとえば、賃料滞納が1か月分程度にとどまる場合、通常は信頼関係が破壊されたとはいえず、解除や明渡請求が否定されることが多いです。実務上は、一般的な居住用アパートやマンションであれば、3か月以上の滞納が一つの目安とされるケースが多いといえます。

たとえ契約書に「1か月の滞納でも解除できる」といった条項があったとしても、裁判所は形式的に条項を適用するのではなく、信頼関係の破壊があるかどうかを重視します。

立ち退き要求が認められるその他のケース

賃借人に明確な債務不履行がない場合でも、賃貸人が立ち退きを求めることができるケースは存在します。ただし、そのハードルは決して低くありません。

更新拒絶や解約申し入れによる契約終了

まず、更新拒絶や解約申し入れによる契約終了です。期間の定めのある建物賃貸借契約について、賃貸人が更新を拒否する場合には、期間満了の6か月前から1年前までに、その旨を通知する必要があります。

また、期間の定めのない契約や解約申し入れの場合でも、少なくとも6か月前に解約の意思表示をしなければなりません。しかし、これらの手続きを踏んだだけで当然に契約が終了するわけではありません。

借地借家法第28条により、更新拒絶や解約申し入れが認められるためには、「正当の事由」が必要とされています。この正当事由の判断にあたっては、賃貸人・賃借人それぞれの建物使用の必要性、これまでの賃貸借の経過、建物の利用状況や現況、建物の老朽化の有無、さらには立退料の提供の有無やその額など、諸事情を総合考慮することになります。

立退料は、正当事由を補完する要素と位置付けられています。賃貸人側の事情が強く正当と評価される場合には立退料は低額となり、逆に正当性が弱い場合には高額な立退料を提示しなければ、立ち退きが認められないこともあります。

建物の滅失による契約終了

次に、建物の滅失による契約終了があります。ただし、単なる老朽化を理由に立ち退きを求めることは、原則として認められません。たとえ建築基準法などの現行法令に適合しなくなったとしても、それだけでは直ちに明渡し請求はできません。

民法上いう「目的物の滅失」とは、建物としての効用、すなわち雨風をしのぐという基本的機能を失った状態を指します。屋根・壁・柱が失われるなど、建物としての使用が不可能な稀なケースでなければ、滅失を理由とした契約終了は困難です。

ただし、老朽化の程度は、更新拒絶や解約申し入れにおける正当事由を判断する際の一事情として考慮されることはあります。

まとめ

建物賃貸借契約における解除・解約・立ち退きの可否は、形式的な手続きや条文だけで決まるものではなく、信頼関係や正当事由といった実質的な判断要素が極めて重要となります。賃料不払い、無断転貸などの賃借人側の債務不履行が存在し、かつ、その内容・期間・頻度、敷金の額などを踏まえて、信頼関係が破壊されたと裁判所が認める必要があります。賃貸人・賃借人の双方にとって、正確な理解がトラブル防止の第一歩といえるでしょう。

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