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「インボイス制度」は不動産管理に大いに影響する!その理由を解説

公開日:2023/09/15  


2023年10月から開始が決まっているインボイス制度ですが、不動産賃貸経営の事業者にも影響があるのでしょうか。結論を言えば、影響を受ける事業者とあまり影響を受けない事業者に二分されます。本記事では制度の概要や不動産所有者に与える影響、必要な対策などについてまとめます。

そもそも「インボイス制度」とは?

インボイス制度とは、2023年10月から開始される消費税の新しいルールのことです。最初に、制度の概要や導入後に変わること、導入の目的などについて整理します。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは適格請求書を発行し、請求書の保存を求める仕組みです。この書類がないと、仕入税額控除が受けられず、実質的に課税事業者のコストが増えてしまいます。これまで、発行が義務とされていなかったため、1,000万円以下の事業者の大半は発行の必要がない免税事業者でした。

しかし、制度導入後も免税事業者であることを続けてしまうと、取引相手にインボイスを発行できません。その結果、取引相手の税負担が増してしまうのです。こうして負担が増えて取引が不利になると、取引の停止や消費税分の値下げなどを要求されてしまう可能性が高くなるという懸念点があります。

導入後に変化すること

影響が出るのは収入が1,000万円以下の事業者です。

1つ目の影響は収入の減少です。課税事業者に変更すると、それまで納めていなかった消費税を納税しなければならず、収入が目減りしてしまいます。

2つ目の影響は競争力の低下です。後ほど詳しく説明しますが、取引相手が消費税を課税される事業者だった場合、インボイスがないと仕入税額控除が適用されないため、相手の税負担が増してしまいます。負担増を嫌った取引相手は、同じような条件の課税事業者の物件に引っ越してしまうかもしれません。

インボイス制度導入の目的

導入の目的は課税事業者と免税事業者の不公平をなくすことだと考えられています。しかし、免税事業者から見れば大きな負担増になり、経営の重荷になることは避けられません。

インボイス制度により不動産オーナーに影響するポイントとは?

制度が始まると不動産事業を営んでいる人にどのような影響が出るのでしょうか。影響が出る事業者と出ない事業者の違いについて詳しく見てみましょう。

課税事業者にテナント貸しをしている免税事業者のオーナーは影響を受ける

最も大きな影響を受けるのは課税事業者に物件を貸している免税事業者です。テナントが免税事業者であれば不要となるため影響がありません。しかし、相手が課税事業者であればインボイスが得られないと仕入税額控除を適用できず、自社の税負担が増してしまいます。

仕入税額控除とは、消費税を算出するときに差し引く仕組みのことで、適用されると課税額が減少し、税負担が軽くなります。仕入税額控除を受けられない相手企業は収益が悪化してしまうため、退去を検討するかもしれません。また、退去しないにせよ、消費税相当分のテナント料減額を求められるかもしれません。

居住用物件のオーナーはほぼ影響がない

居住用物件の所有者は、ほとんど影響を受けないと考えられます。なぜなら、住宅の家賃や家賃に含まれる駐車場の賃料、土地の賃料などは消費税が課税されないからです。これらは消費税が課されないため、インボイスを発行する必要がありません。したがって、免税事業者のままでも全く問題ありません。

ちなみに、課税対象となるのは店舗・事務所です。倉庫の賃貸収入や家賃に含まれない駐車場賃貸の収入、太陽光発電の収入などです。

インボイス制度で対策することとは

制度が始まる2023年10月までにするべきことは何でしょうか。3つの対策について紹介します。

課税事業者になってインボイスを発行できるようにする

1つ目の対応策は、課税事業者になることです。テナントの借主からインボイス発行を求められる可能性が高いなら、課税事業者になって適格請求書発行事業者に登録する、というのが最も単純な方法といえます。課税事業者になるのであれば、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出しましょう。

提出方法は郵送とe-Taxの2つで、どちらを選んでも問題ありません。ちなみに、収入が1,000万円以上の事業者は自動的にインボイスが適用されるので、2023年9月30日までに課税事業者になる手続きを進めなければなりません。

免税事業者のままテナント料などを減額する

2つ目の対策は免税事業者のままテナント料などを減額することです。相手が消費税を仕入税額控除の対象にできないことを考慮し、その分を割り引くことでが退去しないように配慮します。

免税事業者のままでいて特に対応しない

3つ目は特に対策を行わないことです。アパートやマンションなどの居住用物件の所有者であれば、家賃収入が消費税の課税対象ではないため、変更する必要がありません。したがって、免税事業者のままでも大きな影響を受けませんので、特に対策しなくても問題ありません。

まとめ

今回は不動産オーナーにも影響を与えるインボイス制度について解説しました。影響するか否かは、取引相手が課税事業者か否か、消費税の課税対象であるか否かで変わります。自分の取引相手がインボイスを必要とするのであれば、課税事業者になることを検討する必要があるかもしれません。免税事業者か課税事業者は事業者自身が決められますので、自分の事業への影響を考慮し、どちらにするか決めたほうがよいでしょう。

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